Vivy 考

動かなくなったVivyとマツモトがなんとも物悲しく、最後に何事もなかったかのようにまたはじまるVivyとマツモトの会話に少し救われて終わる最終話。

 

彼女の100年の旅は、人間やAIと関わり合ってぶつかりあって、彼らを知るためにあったんだろう。

Vivyはただの歌姫のままならば、最初のステージでただ歌って一生を終えていたらしい。それが人を助け、AIと共闘し、いろんな言葉を聞いて、変わった。

彼女は別人格ながらメインステージにたどり着き、多くの人の心を動かす歌を歌うようになった。

別人格から戻って歌えなくなった間も、彼女は心を学び続けた。そうして最後に自分にとっての心とは積み重ねた記憶のことだと気づく。音階を辿っていただけの彼女が、目覚めた時から与えられていた使命を果たした瞬間だった。

 

心を込めるってどういうことですか?

 

シンプルだけど難しいVivyからの質問に、作中でVivyと出会うAIたちは様々な答えを返した。

質問の答えは生き方そのものに繋がってくるので、それぞれの答えをVivyがそのまま自分の答えにすることはできなかったけれど、そういう問いの積み重ねで彼女は最後に自分の答えを手に入れた。

 

人間が主人公だったら、この問いを自然な流れで発し続けることは難しいのかもしれない。そんな風変わりな主人公のお話もきっと楽しいと思うけれど、この問いを作中で問い続けるために、AIを主人公にしたのかも、しれない。

 

彼女と他のAIの違いは、心を込めるという使命を与えられたことにあるのだろう。

この差が、使命に忠実であるがゆえに手段を選ばなくなったAIと、心を込めることについて考え続けたVivyの最終局面に繋がる。

Vivyを生み出した博士が「心とは何か、どういう答えを出すのか期待している。たとえば彼女なりの心を持った結果、私たち人間を恨もうとも構わない」とどんな結果になろうとも構わないと言いながらVivyに贈った使命が、結果として人類とAIの共に生きる未来を選ばせた。博士はこんな未来を期待していたのかもしれない。

 

あなたにとって、心を込めるってどういうこと?

 

視聴者が作品を反芻するたびにめぐるであろうこの問いに、製作者はどんな願いを込めたのだろうか。