『ルックバック』感想

※結末まで触れてるのでご注意。

 

藤野がかわいいんだよね。

クラスの子に漫画褒められて「5分で書いたんだよねー」って余裕ぶって言っちゃう藤野。

京本の絵に衝撃を受けて「4年生で私より絵が上手いヤツがいるなんて絶っっ対に許せない!」と猛然と絵を書き出す藤野。

周りに色々言われて心が揺れながらも描き続けて、ある日京本との絶対的な力の差に諦める藤野。

そして、その京本に「藤野先生のファンです!」と言われて、帰り道に踊ってしまう藤野。

褒められると嬉しくて、貶されたら悔しくて、無関心には心が揺れて。表向きは素直じゃないけど、一番悔しいと思ってた相手に手放しで褒め称えられて、嬉しくないわけがない。そんな女の子が主人公の本作。

 

2人が出会ってからは、漫画の日々。

いつのまにか藤野の部屋には京本がいて、来る日も来る日も、描いて描いて描いて、だんだんと少しずつページは増えていく。そして2年をかけて完成した漫画は見事受賞する。

3ページ、台詞のないコマが続いて、ずっと作業しているところが描かれている。これがとても好き。

 

2人が賞金100万円のうちの10万円を下ろして遊びに出かけるけど、クレープ食べて映画見て、ハンバーガー食べて本屋に行って、5000円しか使えなかった…と言いながら帰る場面が愛しい。

 

高校の3年間、京本は藤野と漫画を描いて、漫画のために出かけて、本を買って…の日々の中で美大の受験を決意する。藤野は最初「いいんじゃない?」と強がってみせたものの、京本の「一人の力で生きてみたい」という言葉に「1人でなんてつまんないよ!あんたには絶対無理」と引き留めようとして、「もっと絵、うまくなりたい」の言葉に何も言えなくなる。

藤野は連載をはじめ、京本は美大に入学して、それぞれが一人の力で生きていた…けれども。

ここまでが本当によくて、藤野の気持ちも京本の気持ちも分かる。京本が藤野に火をつけて、藤野が京本をここまで連れてきたんだなあと思ったりもする。むちゃくちゃいい作品でしょう。

 

ここからだ。

京本が大学で起きた事件に巻き込まれて、死ぬ。

「ネットに公開していた絵を(同美大の学生に)パクられた」という理由で、美大生の無差別殺人を図った犯人によって。

藤野は京本の部屋の前で、自分が部屋から京本を出さなければ、と後悔する。あの時なんで漫画を描いたんだろう。と。もしもを回想する。

漫画を描くと京本がびっくりするくらい喜んだから、嬉しくなって描いた。そして京本は藤野の連載の最新刊も何度も何度も読んでいて、藤野が昔描いたような4コマ漫画を描いたりするくらいに、続きを楽しみにしていた。そういう記憶の痕跡が京本の部屋には遺されていた。そして藤野はまた描き続ける。

泣けてきてしまった。死んだら終わりだけど、終わりじゃない。京本は死んだ後も藤野に漫画を描かせるんだなあ。そういう話。

 

◯所感とか

感想…感想は蛇足になりそうだからな…。

10代の日々が漫画に捧げられて、それぞれの道を見つけて、っていう半端ない瑞々しさと、突然の喪失のジェットコースターにやられてしまった。

死んじゃって悲しい悔しいだけじゃなくて、思い出とか日々の積み重ねとか生きてた痕跡とかが生きてる人を生かしてくんだなと思って泣いた。

読むといいよ!ルックバック。